国が「競争的資金」(資料1・2・3)について年間に実施する助成金・補助金の数は約3,000種類あると言われています。厚生労働省は“助成金”、経済産業省は“補助金”、ごく少額であったり、特定の取り組みに対して一時的に支払われるものは“奨励金”“給付金”と呼ばれています。ここでは、これら助成金・補助金などの獲得方法について紹介します。
助成金・補助金の事業形態
助成金・補助金が公募される際、〝この領域で社会に役立つことを何か考えている人(組織)はいませんか、いるなら手を挙げてください。助成金(補助金)を出します〟というのが「公募事業」、また、〝ITやバイオ、環境や医療・福祉などの特定の分野において国が考えている研究開発を代わりに実施する人(組織)はいませんか。助成金(補助金)を出します〟というのが「委託事業」です。
なお、「委託事業」は通常助成(補助)率は1。つまり研究開発にかかる費用についてのすべてについて助成金(補助金)が出ます。
効率的に公募情報を得よう
助成金・補助金の情報は各省庁や関係する独立行政法人機構などのホームページ上で研究資金公募情報を得ることができますが、一つひとつ検索していくのはかなり煩雑です。
よって、これらの情報をまとめて公開している各省庁、政府機関、公的機関、大学、高等専門学校、民間企業などを検索することで手間が省けます。
なお、研究資金公募の情報入手先として、主な省庁、政府機関、公的機関のホームページは下記(資料)のとおりです。
助成金・補助金の獲得準備と対策
まず、競争的資金への申請を検討する前に以下の3つのことを確認しましょう。
①なぜ助成金が必要なのか?
②助成金で何をしたいのか?
③その先の展開の見通しはどうか?
これらを踏まえたうえで、競争的資金の獲得には次のことが必要となります。
①適した制度(助成金・補助金など)を探すこと
②募集要項をよく読むこと
point!
募集要項には競争的資金の獲得に求められるポイントがあります。
●助成団体の目的と、助成制度の狙い
●募集条件、要件
●審査方法、審査基準
●各種注意事項 など
③事前相談をすること
point!
実は、事前相談もとても大切!
募集要項を読んでみて、〝これは!〟と思った制度(助成金・補助金など)を見つけた時、または、〝募集要項ではよく分からない〟と思った時は、早めに問い合わせをしてみましょう。
事前相談では、
●募集要項では表現されていないことが分かる
●特に、助成団体の性格や傾向(好み)が分かる
●相談相手(担当者)という関係を構築できる
●事業計画(申請書)の推こうができる
●自分たちの活動の課題が分かることもある
など、助成金(補助金)を獲得するうえでの重要なファクターが得られるからです。
では、いつ相談したらよいのでしょう?
〝締め切り前〟ではもう遅い!のです。少なくとも募集期間の早期に事前相談を。
助成金・補助金審査のポイント
どんな研究開発(事業)を行うのかについてのコンセプトワークと、見積収支計画、資金調達計画などの財務計画から構成したもので審査されます。
全編を通じて、プロジェクトの「新規性・創造性」「他者差別性(競争優位性)」「市場性(事業性)「実現可能性」「具体性」「リスク要因」などについてアピールする必要があり、さらにそれらに一貫性(トータルバランス)があるかが重要となります。
①新規性・創造性…技術・商品などが今現在、業界内、異業種にも存在しないこと
②他者差別性(競争優位性)…技術・商品などが他者と比較してどう優れているのか
③市場性(事業性)…技術・商品などが対象市場(顧客ターゲット)に与えるインパクトや創造する新市場の予測
④実現可能性…研究開発の実施能力
⑤具体性…細かなステップごとに計画し、資金調達計画を連動させてプロジェクトを管理する
⑥リスク要因…市場、組織、資金などのさまざまなリスクを予測し、対策を提案することによる高い危機管理能力
審査にあたって
競争的資金の審査にあたっては、審査委員への面接などによるプレゼンテーションを行うことがあります。その際、注意すべきこととしては、審査委員などが特に期待しているであろうこと(例えば新規性や実現可能性)を強調することが必要です。さらに、それらのことをアピール出来るよう資料やプレゼンテーションソフトを活用し、言葉だけでなく視覚に訴える方が審査委員から好印象を受けやすいでしょう。
審査結果について
競争的資金の採択が決まったとなれば、成果を目指して研究を進めていきましょう。その反対に不採択になってしまった場合でも、「気にしすぎないこと」です。不採択の理由は、基本的には制度(助成金・補助金など)や審査基準が合わないことであり、活動や人格の否定ではないので、深刻に悩み過ぎないようにしましょう。
さらに、「不採択の理由を問い合わせる」ことも重要です。
結果の通知には理由が記載されていない場合が多く、問い合わせればある程度の理由を教えてもらえることもあります。理由を把握していれば、次回採択されるための課題克服要因となります。
決して「転んでもただでは起きない」の精神で助成金・補助金の獲得を目指しましょう。
採択後の注意
なお、採択を受けた場合には、その管理にも注意を払う必要があります。定められている経理処理方法を順守し、定められた報告書を期限までに提出するなど、助成金(補助金)交付要綱や契約書で決められていることを守るように注意してください。これらに対して、いい加減な処理を行った場合には、処理能力に問題があるというレッテルを貼られることもあり、今後の申請に悪影響を及ぼすこともありますので注意してください。
(資料)省庁、政府機関、公的機関のホームページ
内閣府
http://www.cao.go.jp/
総務省
http://www.soumu.go.jp/
文部科学省
http://www.mext.go.jp/
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
農林水産省
http://www.maff.go.jp/
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
国土交通省
http://www.mlit.go.jp/
環境省
http://www.env.go.jp/
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
http://www.nedo.go.jp/
(独)科学技術振興機構(JST)
http://www.jst.go.jp/
おかやま産学官ネット
http://okayama-sangakukan.jp/
資料1
競争的資金の概要
●競争的資金(第3期科学技術基本計画※)とは
「資源配分主体が広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数のものによる科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金」のこと。
●競争的資金は引き続き拡充
●研究者の研究費の選択の幅と自由度を拡大
●競争的な研究開発環境の形成に貢献
※科学技術基本計画:政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、総合科学技術会議の諮問を踏まえ、「今後10年間程度を見通した5年計画の科学技術政策を具体化するものとして策定する」ものである。第3期計画は平成18年度から22年度までの5年間が対象。
資料2
平成22年度科学技術関係予算について
(総合科学技術会議)
(1)資源配分の方針(平成21年6月公表)
最重要政策課題の設定
①低炭素社会の実現
②健康長寿社会の実現
③革新的技術の推進
④科学技術外交の推進
⑤社会還元加速プロジェクトの推進
⑥地域科学技術施策の推進
(2)具体的進め方(平成21年7月公表)
前年度の内容の精査、ヒアリングを実施(不合理な重複の排除、科学技術の相乗的な振興が図られるよう、平成22年度予算概要に当たり、関連する平成21年度補正予算をどう考慮したかを含む)する。
施策の特性に応じ、新規施策への優先度判定・継続施策への改善・見直しの指摘などの対応を行う。
ただし、第3期科学技術基本計画に掲げた社会実現に向けた研究開発の推進などの直接的な科学技術施策だけでなく、科学技術を用いた新たな事業化の取り組み、新技術の実社会での実証試験、既存技術の実社会での普及促進の取り組みなどについては、科学技術関係施策として、積極的に位置づける。これらの予算は、基本的に「優先度判定」や「改善・見直し指摘」の対象とはしない。
(3)平成22年度概算要求
経済産業省関係
●戦略的基盤技術高度化支援事業 40億円
●地域イノベーション創出研究開発事業 34億円
●ものづくり中小企業製品開発等支援事業 75億円
文部科学省関係
●地域イノベーション創出総合支援支援事業 140億円
●研究成果最適展開支援事業 62億円
農林水産省関係
●地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発 14億円
●イノベーション創出基礎的研究推進事業 75億円
●地域活性化のための技術開発支援事業 48億円
資料3
競争的資金の特徴
主な外部資金制度事業
経済産業省関係
●事業の目的:原則として実用化
●事業の対象者:主として法人だが、大学、研究機関も含む
●研究開発費の支払い:ほとんどのものが精算払い(後払い)
文部科学省関係
●事業の目的:新技術の創出、および企業化開発
●注意:大学・研究機関の技術シーズの活用必須
●研究開発費の支払い:ほとんどのものが概算払い(前払い)
農林水産省関係
●事業の対象者:農林水産関連
●研究開発費の支払い:精算払い(後払い)
民間金融機関など
●事業の対象者:創業前の個人のケースがある
●研究開発費の支払い:ほとんどのものが概算払い(前払い)
●注意:公的事業との重複があっても構わない。採択後の事務処理が簡単
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